名付け親のロゴタイプ

商標登録とネーミング
基本技と裏技

「ネーミング案を考えたが、すでに商標登録されている!」

「誰もが思いつくようなネーミング案では商標登録は非常に難しい!」

商標登録はネーミング開発の最後の難関です。
開発したネーミングを商標登録するためのポイントをご紹介します。

商標検索の方法。
登録の確度を高める類似度の測定方法。
デザインするときの注意点。
商標登録しなくてもネーミングは使える!
コンセプトを伝える最強のネーミングは識別性のない言葉!

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商標検索

商標の類似を検索することで商標権の侵害を未然に防ぐことや、商標登録の可能性を判断することができます。

商標調査は商標に詳しい弁理士に依頼するのが最善です。

しかしネーミング案が沢山ある場合、商標検索サイトを利用しご自身で絞り込めます。

検索手順を紹介する前に、検索に重要な「類似群コード」についてご説明します。

類似群コードとは

私たちの周りには数えきれないほどの商品やサービスがあります。

これらを特許庁が一定の基準にしたがって分類したのが5桁の類似群コードです。

商標登録が可能かどうかは、
①商標(ネーミング)が類似しているか。
②商品・役務が同じ類似群コードに分類されるか。
で判断されます。
検索したいネーミングの類似群コードは非常に重要です

例1 香水と口紅は同じ区分の商品でしょうか?

香水瓶のイラスト
香水
3類「類似群コード04C01」

口紅のイラスト
口紅
3類「類似群コード04C01」

同じ商品分類です。

香水のネーミング「シルフィー」が先に商標登録されていると、 口紅のネーミング「シルフィー」は類似になり無断で使用することはできません。


例2 清涼飲料とビールは同じ区分の商品でしようか?

清涼飲料水のイラスト
清涼飲料
32類「類似群コード29C01」

缶ビールのイラスト
ビール
32類「類似群コード28A02」

別の商品分類です。

清涼飲料で「実りのめぐみ」が商標登録されていても、ビールで「実りのめぐみ」の商標登録が可能です。

商標は「商標(ネーミング)」と「商品・役務」の組合せで類否を判断します。

類似群コードの調べ方

特許情報プラットホーム(J-PlatPat) (無料)

商標類似群コードの検索

特許情報プラットホーム(J-PlatPat)にアクセスして上部のタブで 商標 -> 商品・役務名検索 で調べることができます。


商標検索の方法

1.登録したい商品・役務の類似群コードを決めます。

2.ネーミングがどのように読まれるか考えます。
  例えば
   未来夢  ミライム、ミライユメ
   Recipe  レシピ、リシペ、リサイプ
   INU   アイエヌユー、アイヌ、イヌ、インウ
   紅梅   コウバイ、ベニウメ
   Chance  チャンス(英語)、シャンス(フランス語)

など別の読みがある場合、すべての可能性を考えて商標検索する必要があります。

アルファベットの読み

アルファベットの読みは複数あるので注意が必要です。

A エイ B ビイ、ビー C シイ、シー
D デイ、デー、ディ E イイ、イー F エフ
G ジイ H エイチ、エッチ I アイ
J ジェイ K ケイ L エル
M エム N エヌ O オオ
P ピイ Q キュウ、キュー R アアル、アール
S エス T テイ U ユウ
V ブイ W ダブリュウ、ダブリュー、ダブリュ X エックス、クロス
Y ワイ Z ゼット

3.称呼(ネーミングの読み)で検索する。

登録する「商品」や「役務(サービス)」が同じ場合、 ズバリの商標だけではなく、一文字違いも類似商標になり商標登録および使用することはできません。

特許情報プラットホーム(J-PlatPat)の「商標検索」の 機能のうち、「称呼(類似検索)」の検索項目を使うと 類似する可能性のある商標を広く検索できます。

特許情報プラットホーム(J-PlatPat)を利用します。

商標称呼検索J-PlatPatで検索

商標との類似度を調べる

検索された商標とネーミングが類似しているかの判断は専門の知識が必要で 商標に詳しい弁理士に相談されるのがベストです。

とりあえずネーミング案を振るいに掛けたい場合は簡易的に類似度を測るTN法という手法があります。

TN法は弁理士の川瀬茂樹先生が 考案された称呼の類似・非類似を判定する手法です。

二つの称呼の類似の値(TN値)を計算する事によって類似の称呼を簡易的に素早く見つける ことができます。

TN法 商標類否判断アプリのダウンロード

Windows95用のアプリですがWindows10でも正常に動作します。 TNJdg11.zip ダウンロード


TN値の判断基準

TN値 TN値の判断基準(ネーミング提案先の担当弁理士の見解)
0~10 登録不可
11~47 ほとんどの場合、登録が認められない。
47~49 TN法では類似の判定ですが、ロゴタイプなどデザイン化した
場合は商標登録できる可能性がある。
50~56 TN法では非類似の判定です。念のためロゴタイプ化して申請する
57~ 標準文字(明朝体、ゴジック体)の申請でも登録の可能性大。

過去に認められなかった事例。
1.登録申請の書類に商品化しない類まで加えてたケース

2.結合商標の申請で2つに分けたデザインで申請したケース

例〇「パティオコート」  ×「パティオ  コート」
商標調査をパスしたネーミングをロゴ化する時に2つ
に分けてデザインしたために商標登録が認められなかった。

商標検索の注意点

1. TN法で登録の可能性が高い結果になっても登録確度は100%にはなりません。

2.最終的な類否判定は特許庁の審査官が決定します。
人が決めることですので個人によって若干の差が生じる場合があります。

3.商標申請からデータベースに入力されるまで数か月の期間が必要です。 商標検索結果には、この数か月分の出願データは含まれていません。

以上の注意点は他のどのような調査方法でも同じ問題をかかえています。

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商標の識別性
登録できないネーミング

事例

スーパーの同じ陳列棚にまったく同じようなネーミングが並んでいます。 明治乳業の「おいしい牛乳」と森永乳業の「おいしい牛乳」です。

2つあるおいしい牛乳
おいしい牛乳が2種類

何故「おいしい牛乳」という商標が2つもあるのでしょうか? 「おいしい牛乳」の部分が大きく表現されてネーミングの主役のように見えますが、 実は商標ではありません。

商品区分「牛乳」(類似群コード31D01)では「おいしい」は品質表示。「牛乳」は商品そのもの。

ネーミング「おいしい牛乳」は他の牛乳と区別する「識別性」がなく商標登録できないのです。 つまり誰もが牛乳に「おいしい牛乳」と名付けてもよいのです。

そこで「おいしい牛乳」の前に「ブランド名」をプラスして識別性を確保しています。
識別性のある部分(ブランド名)+識別性のない部分(おいしい牛乳)

識別性のない商標として

●「指定商品又は指定役務(サービス)の普通名称」が挙げられます。 例えば、商品「時計」に対して商標「時計」は識別性がなく、商標登録できません。

●普通名称の略称も識別性が無いとされます。 例えば、役務「損害保険の引受け」に対して商標「損保」も識別性がなく商標登録できません。

●「指定商品又は指定役務に対して慣用されている商標」が挙げられます。

慣用されている商標(慣用商標)とは、同種の商品やサービスに対して同業者間で普通に 使われた結果、識別力を失った商標のことを言います。

例えば、商品「清酒」に対して商標「正宗」、商品「カステラ」に対して商標「オランダ船の図形」、 役務「興行場の座席の手配」に対して商標「プレイガイド」などが識別性なしとして商標登録できません。

●その他にも識別性ない商標として 産地、販売地の名称、品質、原材料、形状、色、商品の効能、効果、数量、加工法、使用法、 著名な地名、数字のみの商標、アルファベットの1字又は2字のみからなる商標

さらに詳しくお知りになりたい場合
特許庁「出願しても登録にならない商標」

●なお識別性のない部分に独創的な単語を追加した場合、 文字をデザイン化して図形などを入れてロゴタイプにした場合などは、商標登録を認められることがあります。

識別性は専門知識が必要です。商標に詳しい弁理士に相談しましょう。

商標とネーミング・デザイン

事例

商標調査を通過したネーミング「ココモスタジオ」の場合。 標準書体(明朝体・ゴジック対)で出願します。

さらに登録を容易にするためにデザイン処理をする場合
下の様に分けて表現すると「ココモ」「スタジオ」と別々に商標審査が行われます。
仮にどちらか一方が商標登録されている場合は審査で不可になる可能性があります。

デザインを担当する方は注意が必要です。

 空白で分かれている。

  文字サイズが大きく異なる。

  書体が異なる。

  中黒で分けられている。

  ハイフォンで分けられている。

        2段で分けられている。







商標登録しないネーミング

ここまでネーミングを商標登録するという方向で説明してきました。

しかし、審査基準を巧みに使って商標登録はできないがコンセプトは表現できるネーミング方法をご紹介します。

1.新しくネーミングを考える場合。

識別性のない言葉を使ってネーミングにする。

例えば商品区分「牛乳」で「おいしい牛乳」は識別性がなく商標登録できません。

そのほかにも
・スーパードライ(品質)
・ラガー(製造法)
・一番搾り(製造法)
・秋限定ビール(使用時期)
・ウィスキー38(数字)
・ね(かな文字1文字)
・Z(ローマ字1-2文字)

識別性のない言葉は消費者にストレートに特徴を訴える力があります。

商標登録はできませんが、コンセプトを表現したネーミングとして使用することができます。

2.類似した商標がすでに登録されていた。

・審査基準にある
・かな文字1文字は商標登録できない。
・分けた表現は個々に審査する。

この商標審査基準を逆手にとってネーミングの文字を1文字づつに分けて表現する。

例えば「エビス」という新しいをネーミングを商標登録しようとするとき、 よく似た商標が既に登録されていて商標出願しても登録の可能性が低い。

さらに無断で使うと商標権の侵害になる可能性が大きい場合。

エ・ビ・ス

と中黒を入れて一字一字別れた表現にすることで、ロゴタイプの変更だけで 同じような読みで使用することができます。

商標登録しないネーミングで消費者に上手に訴求することも可能です。

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